この記事ではバスケのディフェンス基本姿勢や守り方のコツについて解説します。
”膝を曲げて腰を低く下げる”
バスケのディフェンスにおける基本姿勢はこのように指導されることが多いです。
しかし世界最高峰の舞台であるNBAで、それほど膝を曲げている選手はいないように見えます。
腰高でも素晴らしいディフェンスを見せる選手もおり、果たしてこの基本姿勢は盲目的に信じて良いものなのでしょうか?
バスケのディフェンスにおける基本姿勢や守り方のコツについて、固定観念を取り払い考察してみます。
Contents
バスケのディフェンス基本姿勢のウソとホント
決まりきった形を教えられることが多い日本の指導現場。
ディフェンスの基本姿勢についても同様ですが、果たしてそれが本当なのでしょうか?
選手の体型や柔軟性によって構え方に違いはありますし、守る相手や状況によっても姿勢は変わるように思えます。ディフェンスの基本姿勢のウソとホントについて解説します。
一般的なバスケのディフェンス基本姿勢について
- 膝を曲げて腰を落とす
- 背中を反らして上体を立てる
- 拇指球に体重を載せてつま先で地面を蹴る
一般に言われている、バスケのディフェンス基本姿勢と動き方です。
”膝を曲げる””腰を落とす”という言葉が大好きな日本人。
しかし膝は曲げるものではなく自然に曲がるものだと思います。
股関節を曲げて上体を落とした結果膝が曲がり、姿勢が低くなるのが本来の姿勢だと思います。
膝を曲げようとすると、腿の筋肉に力が入ってしまいます。
しかし素早い動きをするためには、無駄な力みはNG。
太ももの力を抜き、お尻の筋肉で身体を動かす。
そのためには股関節を曲げる意識が重要になってきます。
どの程度まで股関節を曲げるのがベストかは個人差がありますが、太ももに不必要に力が入ってしまう位置までは上体を下げないほうが良いでしょう。
と言っても太ももに全く力が入らないというのも無理だと思うので、どのくらいの角度なら一番動きやすいかをいろいろ試しながら探ってみて下さい。
基本姿勢も大切だけど動きやすいディフェンスの姿勢は人によって違う
シュートフォームが人によって違うように、ディフェンスで動きやすい姿勢というのも個人個人で異なります。
正しい姿勢だけど動きの悪い選手よりも、一見すると間違った姿勢のように見えるけど俊敏な動きが出来る選手のほうが活躍できると思いませんか?
大前提として正しい姿勢や動きは人によって違うことを念頭に置きましょう。
もちろん多くの人に当てはまる公約数のようなものはありますが、だからと言ってそれがあなたに当てはまるとは限らないのです。
盲目的に基本姿勢を信じるよりも、自分が動きやすい姿勢を追求すること。
そのほうがディフェンスの動きが良くなると感じているのは僕だけでは無いでしょう。
ディフェンスの基本姿勢よりも大切な守り方7つのコツ
正しい姿勢でディフェンスをすることよりも、動きやすい姿勢で構えること。
相手に簡単にシュートを打たれないことや抜かれないことの方が大切だと思います。
ディフェンスの構え方は体格によっても変わりますが、良いディフェンスをするためには原則があります。
僕が考えるディフェンスの7つのコツについて解説します。
バスケのディフェンスのコツ①:.片足に極端に重心をかけない
両足に均等に重心をかけたほうが動きやすいとは思いますが、クローズアウトのシチュエーションや相手の方向を限定する関係などもあり、難しい部分もあると思います。
そのような場合でも、片足に極端に重心をかけてしまうと、重心をかけた足側を狙われると抜かれないでついていくのは困難です。
相手のドライブに対して対応した時も、片足に体重が乗りすぎるとシュートチェックに跳べなくなってしまいます。
重心はなるべく体の真下に来るように心がけたほうが、良いディフェンスが出来るでしょう。
バスケのディフェンスのコツ②:頭の位置を出来るだけ一定に保つ
人間の体の中でもかなりの重量を誇る頭。
大きく動かしてしまうと重心が動いてしまうので、出来るだけ位置を一定に保つことが大切です。
相手のスピードに対応するためには、上体を倒してついていく必要がある場合もあるでしょう。
そのような場合は頭の位置は地面に対して垂直にはならないと思いますが、出来るだけ早く垂直の状態に戻したほうが、安定した動きが出来ると思います。
せめて高さだけはキープ出来るように意識したほうが、素早く体勢を立て直せるでしょう。
バスケのディフェンスのコツ③:ボールを持たれる前にストレスを与える
余程の実力差があるならともかく、バスケットボールという競技はオフェンスが有利な競技です。
どんな名ディフェンダーでも、一瞬のスキを突かれて得点されてしまうこともあるでしょう。
だからこそ、ボールを簡単に貰わせないことが何よりも大切。チームのルールもあるとは思いますが、しっかりとディナイをして簡単にボールを貰わせないこと。
そのためにはポジションの移動を早くする必要があるでしょうし、場合によっては激しいボディコンタクトが求められる事もあります。
しかし、ボールを受ける前にストレスを受けたオフェンスは、普段とは違うリズムでプレイすることになるはず。
その結果シュートの確率が落ちる可能性もありますし、オフェンスが単調になる場合も多いでしょう。
オフボールのディフェンスで相手にフラストレーションをたまらせることが、オフェンス能力が高い相手を抑えるために有効なコツなのです。
バスケのディフェンスのコツ④:相手の動きを制限する
どんなに力の離れている相手でも、1試合を終えて1点も取られないということはまずあり得ません。
ある程度得点を取られることは許容範囲であるバスケットボール。
少しでも確率の低いシュートを打たせることが大切なポイント。
相手の得意なプレイや苦手なプレイを見極めて、出来るだけ確率の低い選択肢を選ばせる。
仮に得点をされても、苦手なプレイでの得点なら仕方がないと割り切る。
チームとしての共通理解もあるとは思いますが、相手の動きを制限しながら守ることが非常に大切なコツ。
事前のスカウティングだったり、マッチアップしながら相手の動きを見極めることが必要になりますが、抑えどころを理解しておけばディフェンスしやすくなることは間違いないでしょう。
バスケのディフェンスのコツ⑤:相手や仲間の動きを先読みする
よく知っている相手なら、次にどんなプレイをするのかが予測できることもあるでしょう。
初めて見る相手でも、タイムアウト中やクオーター間のインターバル中に相手の動きを冷静に振り返る時間はあるはず。
1対1というシチュエーションに限らず、相手のオフェンスシステムやセットプレイを頭で理解出来ていれば、ある程度の予測は出来るはず。
仮に反応できないまでも、次のプレイを予測できればディフェンスの負担が減るのは間違いありません。
また、相手だけでなく仲間の動きを予測することも大切なコツ。
ブロックに飛ぶことが多いチームメイトがいれば、その選手が飛んだ後にケアをするのはチームメイトの仕事です。
カバーダウンやボックスアウトをする必要があるでしょうし、お互いのプレイについてコミュニケーションを取り合うことで、ディフェンスの質は高くなるはずですよ。
バスケのディフェンスのコツ⑥:声を出してカバーし合う
ディフェンスの姿勢が悪くても、フットワークが苦手でも、誰でも出来るのが声を出すということ。
自分のマークマンの状況やカバーの有り無しを伝えあうことで、ディフェンスの質が上がるのは間違いありません。
オフェンスの立場で考えても、コミュニケーションの取れているディフェンスは攻めにくいもの。
相手に攻めにくいと感じさせればそれだけで儲けものです。
練習中に声を出すのは、試合でコミュニケーションを取るために必要なことだと思います。
練習中に声を出さない選手が試合中にコミュニケーションを取れるはずもないので、普段から声を出す習慣をつけるようにしましょう。
バスケのディフェンスのコツ⑦:臨機応変にディフェンスする
1対1だけであれば話は別ですが、バスケットボールは5対5で行う競技です。
カバーディフェンスに入った結果マークマンへのチェックが遅れてしまう時もあるでしょうし、スクリーンをかけられて守りにくくなっているシチュエーションもあるでしょう。
『出来るだけクロスステップは使わずにスライドステップで守る』という教えが日本では定着していますが、1対1のディフェンスで大切なのは抜かれないでついていくこと。
NBA選手のフットワークを見ているとクロスステップを多用しているように見えますし、臨機応変に対応することが大切なのだと思います。
カバーリングやローテーションの決まり事はチームによって違うとは思いますが、様々なシチュエーションが起こりうる試合中では、決まり事通りにはいかない事も。
ルールから外れる動きであっても、声をかけあってカバーし合えば問題ありません。
相手のオフェンスを失敗で終わらせることが出来れば、ディフェンスとしては成功だと言えるでしょう。
3人のNBA選手に学ぶディフェンスのコツ!
この章ではNBAのディフェンスの名手から1on1の守り方のコツを
NBAのディフェンス名手①:クワイ・レナード(kawhi leonard)
NBA史上でも屈指のディフェンダーと言っても良いレナード。
サンアントニオ・スパーズのエースとして、得点面でも大きな働きをするNBA選手を代表する好選手です。
圧倒的なオフェンス力を持つレブロンジェームズやケビン・デュラントですらも、レナードにマークされている時は得点するのに苦労している印象があります。
長い手をいかした積極的なディフェンスが持ち味のレナード。
ディフェンスの姿勢が非常に安定しており、フットワークの後からもしっかりブロックに跳べるのが大きな特徴。
ある程度腰を落として守る時もありますが、日本のバスケ基準で考えると腰高のようにも思えます。
NBAのディフェンス名手②:トニー・アレン(Tony Allen)
あのコービー・ブライアントが、『一番オフェンスをやりにくかった選手』と認めたトニー・アレン。
ディフェンスで試合の流れを変えられるほどの選手です。
1対1の守り方としては、ボールのもらい際から積極的にプレッシャーをかけるのが印象的。
ドリブルをついた瞬間、ミートの瞬間にスティールを連発出来るのは予測能力の高さがあってこそ。
ボールの流れを読んでパスをカットする場面も多く、バスケIQの高さを感じさせる選手です。
NBAのディフェンス名手③:ブルース・ボウエン(Bruce Bowen)
ディフェンスの名手と言われて、僕が真っ先に思い浮かぶのがブルース・ボウエン。
上体をしっかり立てた姿勢で、積極的に手を出してディフェンスする印象が強い選手です。
レナードやトニー・アレンに比べれば腕は短いように思えますが、相手によって柔軟に守り方を変えて、得意なプレイを消すことに長けた選手だといえるでしょう。
あのコービーが1対1で攻めあぐねている場面もありますし、ファイナルでレブロンとマッチアップしたこともあるボウエン。
歴代屈指のディフェンス能力を誇る名選手です。
NBA歴代の名ディフェンダー10人!
- ゲイリー・ペイントン
- スコッティ・ピッペン
- マイケル・ジョーダン
- ディケンベ・ムトンボ
- デニス・ロドマン
- ベン・ウォレス
- カリーム・アブドゥル・ジャバー
- ウィルト・チェンバレン
- アキーム・オラジュワン
- ビル・ラッセル
NBA歴代の名ディフェンダー10人を紹介している動画があったので、ついつい見てしまいました。
紹介されているのは上記の選手で、ディフェンスだけでなく、チームを強豪へと押し上げてきたオールスター選手ばかり。
インサイドの選手がほとんどなので、ディフェンスの基本姿勢を学ぶという意味ではあまり参考にならないかも知れません。
ただ、マイケル・ジョーダンとスコッティ・ピッペンではディフェンスの構え方も全然違うし、日本のバスケで指導されるような膝をしっかり曲げた姿勢で守る選手はいないと思います。
バスケのディフェンス基本姿勢についてまとめ
ディフェンスの基本姿勢について、日本で定説となっている考え方への疑問を投げかけつつ、独自に考察してみました。
ディフェンスの達人たちは、スクリーンを交わす時には姿勢を変えてすぐに回り込んだり、相手の調子や試合の流れに応じて距離感を変えたりしています。
固定観念に縛られずに、相手にやりたいプレイをやらせないことを第一に考えるのが、ディフェンス上達の一番の秘訣かも知れません。
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